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経営事項審査 経営状況Y点の解説と計算法Evaluation item

経営状況(Y)は、企業の経営状態を財務諸表に基づいて「負債抵抗力」「収益性・効率性」「財務健全」「絶対的力量」の4つの観点から判断し、それぞれの計算結果に基づいて経営状況分析評点を求めます。
各科目の数値は千円未満がある場合、千円単位(ただし、会社法で規定される大会社が、百万単位をもって表示した場合は百万円未満の単位は0として計算)をもって計算することとされています。(切捨て・切上げ・四捨五入は任意)
※e経審は、切り捨てて千円単位としています。※

経営状況分析(Y)の算式と意味

経営状況分析(Y)の構成

経営状況(Y)は、審査基準日における財務諸表に計上された数値から算出される8指標からなります。(総資本と営業キャッシュフローは、前年との平均額で計算する)
経営状況(Y)の評点は、その8指標の数値を次の算式に当てはめて算出します。
【表Y1 経営状況分析(Y)の構成】
記号 経営状況分析の指標
(Y点への寄与度)
算出式
指標の意味
上限 下限
X1 純支払利息率
(29.9%)
(支払利息-受取利息配当金)/(売上高)×100
売上高に対する純粋な支払利息の割合を見る比率で低いほどよい。
-0.3% 5.1%
X2 負債回転期間
(11.4%)
(流動負債+固定負債)/(売上高÷12)
負債総額が月商の何ヶ月分に相当するかを見る比率で低いほどよい
0.9ヶ月 18.0ヶ月
X3 総資本売上総利益率
(21.4%)
売上総利益/総資本(2期平均)×100
総資本に対する売上総利益の割合、つまり投下した総資本に対する売上総利益の状況を示す比率で高いほど良い。
63.6% 6.5%
X4 売上高経常利益率
(5.7%)
経常利益/売上高×100
売上高に対する経常利益の割合、つまり企業の経常的経営活動による収益力を示す比率で高いほど良い。
5.1% -8.5%
X5 自己資本対固定資産比率
(6.8%)
自己資本/固定資産×100
設備投資などの固定資産がどの程度自己資本で調達されているかを見る比率で高いほど良い。
350.0% -76.5%
X6 自己資本比率
(14.6%)
自己資本/総資本×100
総資本に対して自己資本の占める割合、つまり資本蓄積の度合いを示す比率で高いほど良い。
68.5% -68.6%
X7 営業キャッシュフロー
(5.7%)
営業キャッシュフロー/100,000
企業の営業活動により生じたキャッシュの増減をみる比率で高いほど良い。
15.0億円 -10.0億円
X8 利益剰余金
(4.4%)
利益剰余金/100,000
企業の営業活動により蓄積された利益のストックを見る比率で高いほど良い。
100.0億円 -3.0億円

経営状況の点数(A)
次の計算式に各数値を用いて、点数(A)求めます。
A=-0.4650×(X1)-0.0508×(X2)+0.0264×(X3)+0.0277×(X4)
+0.0011×(X5)+0.0089×(X6)+0.0818+(X7)+0.0172×(X8)+0.1906
(小数点2位未満を四捨五入)

経営状況の評点(Y)
次の計算式に点数(A)を代入し、評点(Y)を求めます。
Y=167.3×A+583 (小数点以下を四捨五入)

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経営状況(Y)点の計算例に用いる数値

財務諸表の勘定科目のうち、経営状況(Y)点の計算に必要な科目のみ数値を例示します。

【表Y1_R1 貸借対照表の計算例の数値】金額単位:千円

勘定科目 前々期対象額 前期対象額 基準決算対象額
流動資産 受取手形 2,772 0 24,580
流動資産 完成工事未収金 33,575 12,314 21,151
流動資産 未成工事支出金 4,837 1,470 14,535
流動資産 材料貯蔵品 4,298 4,925 2,396
流動資産 貸倒引当金 210 100 2,100
固定資産 貸倒引当金 0 0 0
固定資産 固定資産合計 17,161
流動負債 支払手形 0 0 5,410
流動負債 工事未払金 3,728 4,459 1,459
流動負債 未成工事受入金 0 0 12,485
流動負債 流動負債合計 41,661
固定負債 固定負債合計 20,684
利益剰余金合計 216,415
純資産合計 336,415
負債純資産合計 267,883 398,760

【表Y1_R2 損益計算書の計算例の数値】金額単位:千円

勘定科目 前々期対象額 前期対象額 基準決算対象額
完成工事高 648,018
兼業事業売上高 14,560
売上高 662,578
完成工事原価 411,640
兼業事業売上原価 9,501
売上原価 421,141
受取利息及び配当金 4,580
支払利息 449
経常利益 52,019 160,203
法人税、住民税及び事業税 9,243 3,450

【表Y1_R2 税務申告書の別表16の計算例の数値】金額単位:千円

勘定科目 前々期対象額 前期対象額 基準決算対象額
別表16 当期償却額 0 8,574

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負債抵抗力(X1:純支払利息率、X2:負債回転期間)

純支払利息率(X1)計算例

純支払利息とは、損益計算書の「支払利息」から「受取利息及び配当金」を差し引いた金額であり、「売上高」には建設業以外の「兼業事業売上高」を含みます。
【計算例の数値と計算結果】金額単位:千円
支払利息 受取利息及び配当金 完成工事高 兼業事業売上高
449 4,580 648,018 14,560
((支払利息-受取利息及び配当金)/(完成工事高+兼業事業売上高))×100=純支払利息率
((449-4,580)/(648,018+14,560))×100=-0.623(小数点以下3位未満を四捨五入) ⇒ 上限が-0.3なので、-0.300となる

負債回転期間(X2)計算例

貸借対照表の「流動負債合計」と「固定負債合計」及び売上高より算出します。売上高には建設業以外の「兼業事業売上高」を含みます。
【計算例の数値と計算結果】金額単位:千円
完成工事高 兼業事業売上高 流動負債合計 固定負債合計
648,018 14,560 41,661 20,648
(流動負債合計+固定負債合計)/((完成工事高+兼業事業売上高)÷12)=負債回転期間
(41,661+20,648)/((648,018+14,560)÷12)=1.129(小数点以下3位未満を四捨五入)

収益性・効率性(X3:総資本売上総利益率、X4:売上高経常利益率)

総資本売上総利益率(X3)計算例

売上総利益は、損益計算書の「売上高」から「売上原価」を控除した利益です。総資本は、貸借対照表の負債と純資産の合計額で「負債純資産合計」がこれに当たります。総資本は、当期と前期の2期平均で計算します。
【計算例の数値と計算結果】金額単位:千円
売上高 売上原価 前期負債純資産合計 基準負債純資産合計
662,578 421,141 267,883 398,760
((売上高-売上原価)/((前期負債純資産合計+基準負債純資産合計)/2))×100
((662,578-421,141)/((267,883+398,760)/2))×100=72.434(小数点以下第3位未満を四捨五入)
⇒ 上限が63.6なので、63.600となる

売上高経常利益率(X4)計算例

売上高に対する経常利益の割合を評価します。
【計算例の数値と計算結果】金額単位:千円
経常利益 売上高
160,203 662,578
(経常利益/売上高)×100
(160,203/662,578)×100=24.179(小数点以下3位未満を四捨五入)
⇒ 上限が5.1なので、5.100となる
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財務健全性(X5:自己資本対固定資産比率、X6:自己資本比率)

自己資本対固定資産比率(X5)計算例

自己資本額は、貸借対照表の「純資産合計額」であり、固定資産は同じく貸借対照表の「固定資産合計」の数値がこれに当たります。
【計算例の数値と計算結果】金額単位:千円
純資産合計額 固定資産合計
336,415 17,161
(純資産合計額/固定資産合計)×100
(336,415/17,161)×100=1960.347(小数点以下3位未満を四捨五入)
⇒ 上限が350.0なので、350.000となる

自己資本比率(X6)計算例

自己資本はX5と同様に貸借対照表の「純資産合計」であり、総資本はX3ど同様に貸借対照表の「負債純資産合計」の数値を用います。
【計算例の数値と計算結果】金額単位:千円
純資産合計 負債純資産合計
336,415 398,760
(純資産合計/負債純資産合計)×100
(336,415/398,760)×100=84.365(小数点以下3位未満を四捨五入)
⇒ 上限が68.5なので、68.500となる

絶対的力量(X7:営業キャッシュフロー、X8:利益剰余金)

営業キャッシュフロー(X7)計算例

経営事項審査の営業キャッシュフロー(X7)は、審査基準年の営業キャッシュフローを1億円で除した額と前期の営業キャッシュフローを1億円で除した額の平均が評価対象となります。
営業キャッシュフローは、次の計算式にて算出します。
営業キャッシュフロー = 経常利益 + 減価償却実施額 - 法人税等 + 引当金増減額 - 売掛債権増減額 + 仕入債務増減額 - 棚卸資産増減額 + 受入金増減額
増減額とは、当期の場合:当期金額-前期金額、前期の場合:前期金額-前々期金額で計算した差額です。

建設業財務諸表の該当勘定科目
建設業財務諸表で該当する財務科目を列挙します。
・経常利益:損益計算書の「経常利益」
・減価償却実施額:税務申告書の別表16(減価償却資産の償却額の計算に関する明細書)の数値
・法人税等:損益計算書の「法人税、住民税及び事業税」
・引当金増減額:貸借対照表の流動資産の「貸倒引当金」+ 固定資産の「貸倒引当金」(財務諸表の△は除いて計算)
・売掛債権増減額:貸借対照表の流動資産の「受取手形」+ 「完成工事未収金」
・仕入債務増減額:貸借対照表の流動負債の「支払手形」+ 「工事未払金」
・棚卸資産増減額:貸借対照表の流動資産の「未成工事支出金」+ 「材料貯蔵品」
・未成工事受入金増減額:貸借対照表の流動負債の「未成工事受入金」

【計算例の数値と計算結果】金額単位:千円
勘定科目 前々期対象額 前期対象額 基準決算対象額
損益計算書 経常利益 52,019 160,203
 〃  法人税、住民税及び事業税 9,243 3,450
税務申告書 別表16 当期償却額 0 8,574
流動資産 貸倒引当金 210 100 2,100
固定資産 貸倒引当金 0 0 0
流動資産 受取手形 2,772 0 24,580
流動資産 完成工事未収金 33,575 12,314 21,151
流動負債 支払手形 0 0 5,410
流動負債 工事未払金 3,728 4,459 1,459
流動資産 未成工事支出金 4,837 1,470 14,535
流動資産 材料貯蔵品 4,298 4,925 2,396
流動負債 未成工事受入金 0 0 12,485
当期・前期営業キャッシュフローの計算
「経常利益 + 減価償却実施額 + 法人税等 - 引当金増減額 + 売掛債権増減額 - 仕入債務増減額 + 棚卸資産増減額 - 受入金増減額」に、計算例の数値を当てはめます。
当期CF ⇒ 160,203+8,574-3,450+((2,100+0)+(100+0))-((24,580+21,151)-(0+17,314))+((5,410+1,459)-(0+4,459))-((14,535+2,396)-(1,470+4,925))+(12,485-0)=143,269
前期CF ⇒ 52,019+0-9,243-((100+0)+(210+0))-((0+17,314)-(2,772+33,575))+((0+4,459)-(0+3,728))-((1,470+4,925)-((4,837+4,298))+(0-0)=65,170

営業キャッシュフロー(X7)の計算
当期の営業キャッシュフロー及び前期の営業キャッシュフローをそれぞれ1億円で割り、平均を求めます。
(143,269/100,000+65,170/100,000)/2=1.042195 ⇒ 
端数処理して 1.042 が求める営業キャッシュフロー(X7)です。(小数点以下3位未満を四捨五入)

利益剰余金(X8)計算例

利益剰余金は、貸借対照表の純資産の部「利益剰余金合計」の数値です。
【計算例の数値と計算結果】金額単位:千円
利益剰余金合計
216,415
(利益剰余金合計/100,000
125,500/100,000=2.165(小数点以下3位未満を四捨五入)
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経営状況Y点の計算

これまで計算してきた8指標を用いて経営状況Y点を求めます。

経営状況の点数(A)

次の計算式に各数値を用いて、点数(A)求めます。
A=-0.4650×(X1)-0.0508×(X2)+0.0264×(X3)+0.0277×(X4)
+0.0011×(X5)+0.0089×(X6)+0.0818+(X7)+0.0172×(X8)+0.1906
(小数点2位未満を四捨五入) 【計算例の数値と計算結果】金額単位:千円
X1 X2 X3 X4 X5 X6 X7 X8
0.300 1.129 63.600 5.100 350.000 68.500 1.042 2.164
経営状況点数(A)を求める
A=-0.4650×X1-0.0508×X2+0.0264×X3+0.0277×X4+0.0011×X5+0.0089×X6+0.0818×X7+0.0172×X8+0.1906
A=-0.4650×(-0.3)-0.0508×(1.129)+0.0264×(63.600)+0.0277×(5.100)+0.0011×(350.000)+0.0089×68.500+0.0818×(1.042)+0.0172×(2.164)+0.1906=3.2101632
3.2101632 ⇒ 3.21(小数点以下2位未満の数値を四捨五入)
経営状況の評点(Y)
次の計算式に点数(A)を代入し、評点(Y)を求めます。
Y=167.3×A+583 (小数点以下を四捨五入)
Y=167.3 × 3.21 + 583 =1120.033 ⇒ 1120

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